オンラインカジノ・オンラインベットは違法?安全?利用しても逮捕されないか考えてみた。

1 オンラインカジノの違法性に関して検討する背景

Twitter界隈を見ていると、オンラインカジノやオンラインベット(ブックメーカー)が流行っている。ただ、彼らのツイートを見ていると、「オンラインカジノはグレーだが、グレーは合法という意味だがら問題ない」「オンラインカジノは合法との判決がなされた」「オンラインカジノを規制する法律がない」という誤った知識を前提に、オンラインカジノはクリアに合法だと誤信している気がしてならない。
そこで、この記事ではオンラインカジノの違法性について、法律の知識がない人にもわかるようにできるだけ簡単に整理したい。分かり易さを重視する結果、厳密には不正確といえる記載もあるかもしれないが、その点はご容赦いただきたい。また、私個人、ギャンブルは好きであり、オンラインカジノの是非について非を述べるものでもない(むしろ是と述べたい)。

(この記事の要約)

1 オンラインカジノの利用は刑法上の単純賭博罪に該当する。2 しかしながら、親元を逮捕できないこともあり、実際にユーザーのみが逮捕される案件は少なく、逮捕されたものの不起訴となった事件が存在する。
3 自宅でひっそり楽しむ分には、逮捕されるリスクは極めて低い。一方、Twitterなどでオンラインカジノの利用を公言したり、アフィをすることは逮捕されるリスクを無用に上げることになるからオススメしない。

2 単純賭博罪とは

刑法第185条は以下のように規定している。

賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

極めてシンプルな条文であり、「賭博をした者」は処罰されると言っている。一般にカジノは「賭博」をする場所であることは明らかであることから、オンラインカジノを利用した者も「賭博をした者」に該当すると考えるのが自然である。

この点に関して、オンライン(親元のサーバーは海外にある)だから、「賭博をした者」に該当しないという反論もある。
しかしながら、この点に関して内閣としては、「犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であることから、政府として、お答えすることは差し控えるが、一般論としては、賭博行為の一部が日本国内において行われた場合、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条の賭博罪が成立することがあるものと考えられ、また、賭博場開張行為の一部が日本国内において行われた場合、同法第百八十六条第二項の賭博開張図利罪が成立することがあるものと考えられる。」(内閣衆質一八五第一七号・平成二十五年十一月一日)との見解を「内閣総理大臣 安倍晋三」名義で示している。また、警察当局も、オンラインカジノの利用は、単純賭博罪に該当すると整理しているようである(なお、「単純賭博罪」に該当するという話と実際に逮捕する必要があるかという話は別の話である。)。

3 何故オンラインカジノがクリアに合法であるという誤解が広がってしまったのか

上記のとおり、刑法第185条を形式的に適用すれば、オンラインカジノの利用は単純賭博罪に該当し、違法である。では、何故オンラインカジノがクリアに合法であるという誤解が広がってしまったのであろうか。

2016年に、オンラインカジノを利用した複数の日本人が単純賭博罪の容疑で逮捕された(ちなみに、チャットでのやりとりの履歴からユーザーを特定したらしい)。そのうちの一人のユーザーを除いては、検察が主張する容疑を認めて、略式起訴で済ました。略式起訴とは、裁判をせずに罰金刑として事件を終了させることである。この場合、裁判が行われないだけで、前科は付いてしまう。すなわち、オンラインカジノを利用して、単純賭博罪で有罪という前科が付いている者も存在するのである。

一方で、一人のユーザーは、容疑を認めず、争った。このユーザーを弁護したのが業界で有名な津田岳宏先生である(この案件で有名になったのかもしれないが)。津田先生は、検察官に対して、大要以下のとおりの意見書を提出した結果、検察官は不起訴処分としたのである。

津田先生のブログより抜粋)

本件は,主たる地位にある一方当事者を処罰することができないにもかかわらず,これに従属する地位にある当事者を処罰することができるのか,という点が真の論点となる。
この点,大コンメンタール刑法には,正犯者が不可罰であるときに従属的な地位にある教唆者や幇助者を処罰することは実質的にみて妥当性を欠くので違法性を阻却させるべき,との記載がある。
賭博事犯において,胴元と客は教唆や幇助の関係にあるわけでないが,その刑事責任の軽重にかんがみれば,事実上従属する関係にあるといえる(ので、胴元が処罰されない本件で、従たる客が処罰されるのは不当である。*この括弧部分は津田先生のブログ記事に基づく当職による推察による補足である)。

この件では、逮捕者が利用したオンラインカジノサイト(胴元)は、海外で適法にライセンスを取得して、海外で適法に運営しており、胴元は処罰できないとい事情が存在した。
そのため、津田先生は上記のとおりの理論を構築して(なお、他にも様々な理由付けをしたようだが、具体的なところは明らかにされていない)、検察官と戦った上で、不起訴を勝ち取ったのである。

この案件が有名となり、オンラインカジノは合法であるという認識が広まったものと推察される。素直に津田先生の功績を讃えたい。

しかしながら、注意しておきたいのが、あくまで、検察官は「不起訴」処分にしただけである。
不起訴処分とは、

捜査の結果
①被疑事件が罪とならないとき
②嫌疑に証拠不十分のとき
③訴訟条件を欠如するとき(例えば時効が完成しているとき)
に加えて、
④検察官の訴追裁量に基づき起訴猶予処分に付する場合(例えば、犯罪の軽微性を理由に裁判を行うのが妥当ではないと判断する場合

に行われる。すなわち、検察官が不起訴としたのは、必ずしも検察官がオンラインカジノのユーザーが無罪であると考えたからとは言えず(ネットベースで調べた限りでは、検察官が不起訴とした理由は明かとなっていない)、オンラインカジノの合法性については何らお墨付きはないのである。

にもかかわらず、(多分)この案件を根拠にオンラインカジノは合法であるとの誤解が広まってしまっているのである。中には、「検察官が、オンラインカジノは合法であるとの判決を下した」という記事やツイートが散見される(「判決」は裁判所が下すものだよ・・・)。まぁ、オンラインカジノサイトが、オンラインカジノが合法であると強く主張して、宣伝しているのも理由であろうが・・・(商業的には理解できる主張である)。

4 若干の補足

上記で不起訴となった案件では、胴元が適法にライセンスを所持し、海外で運営されていたわけである(日本法ではどうやっても胴元を処罰できない)が、仮に、ライセンスを有していなかった場合や、サーバーを日本に置いて、運営していた場合に、事情が異なってくるため、ユーザーはより逮捕され易いことになろうだろう。この点からも、オンラインカジノは一律に逮捕されないと考えるのは危険である。

もっとも、東京高等検察庁の黒川前検事長と記者たちの賭けマージャンが発覚しても、逮捕されなかったように、娯楽レベルに留まるギャンブルについては、「ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」(刑法第185条ただし書)に該当し、単純賭博罪は成立しない。オンラインカジノを利用していても、その金額や態様が娯楽に留まっていれば、逮捕されないのである。

5 結論

上記のとおり、オンラインカジノは形式的には単純賭博罪を構成するため、依然逮捕される理論的な可能性は残るのである。

もっとも、海外ライセンスに基づき運営されているものを利用したものについては、「娯楽」に該当する、あるいは、その他の理論構成で逮捕されない・有罪とならないケースは有り得るだろう。ちなみに、この記事を作成するに当たって、裁判例のデータベースを調査してみたが、私が調べた限りでは、オンラインカジノの適法性・違法性を示した判決は存在しなかった(そもそも略式起訴や起訴猶予になるケースでは「判決」が存在しないため、データベースに載りようがない)。もし2017年以降にオンラインカジノに関して逮捕が行われた事実等を把握されている警察関係者の方がいらっしゃったら是非教えて欲しい。

いずれにしても、チャットの履歴からオンラインカジノのユーザーが逮捕がなされたことがあるのであるから、オンラインカジノはひっそり楽しむべきものであり、twitterで公言して利用したり、オンラインカジノのアフィリエイトはしない方が安全であろう。特に競馬に関して(JRAではなく)オンラインベットを利用するよう誘導する行為は、(行政の監督を受けている)JRAに目をつけられる可能性もあるため、特にオススメしない。

最後に冒頭に記載した記事等について少し触れておくと、

「オンラインカジノはグレーだが、グレーは合法という意味だがら問題ない」
→オンラインカジノの「グレー」は、オンラインカジノはどんな場合に単純賭博罪で逮捕されるか否かが必ずしも明かではないという意味であり、合法である(逮捕されないことが保証されている)ことを意味しない。

「オンラインカジノは合法との判決がなされた」
→なされたのは検察官による不起訴処分であり、「判決」ではない。また、その不起訴処分が理由が、検察官が合法と考えたことによるものか否か明らかではない。

「オンラインカジノを規制する法律がない」
→刑法の単純賭博罪が存在する。オンラインカジノプロパーの規制法がないという意味では正しい。

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