(弁護士が検証)MAM(マム)・PAMM(パム)って何?違法or適法?詐欺に会わない?MAM口座・PAMM口座の法律問題・違法性について検討してみた。

第0 MAM(マム)・PAMM(パム)とは

裁量トレードに疲れると、あるいは儲けることができないと、誰しも自動売買に向かう・・・
私が記憶している限り、一番最初に流行ったのがシストレやトラリピであり、次にEAを使った取引であり、最近はMAM(マム)やPAMM(パム)という手法が流行っているようである。

MAMとは、Multi Account Managerの略称であり、ある運営者に FX取引のエントリー・決済は委託し、自分の口座で完全にミラーで自動的にトレードする運用スキームを意味する。

PAMMとは、Percentage Allocation Management Moduleの略称であり、ざっくり言って、トレーダー(参加者)が、ある運営者に金銭を出資し、その運営者が代わって取引を行い、あげた損益をトレーダーとシェアする運用スキームを意味する。

MAMもPAMMもいずれも自分が取引の判断を一切しないという点で共通であり(この点はEAとも共通する)、MAMはとある運営者のトレードをミラーで自分の口座で取引するのに対し、PAMMは自分の口座ではなく運営者の口座で運営者がトレードを行い、損益分配に与るだけである点が大きく異なる(PAMMでは運用結果しか分からず、具体的にどのような取引を行ったのか、トレーダーは分からないことが多い)。

さて、本記事はMAM、PAMMの仕組みを説明するものではないので、MAM、PAMMの仕組みの説明はこの程度にとどめるが、気になる方はググってみて欲しい。たくさん関連記事がでてくると思うので。

第1 MAM・PAMMの違法性

さて、MAM・PAMMの法的問題点であるが、結論から述べると、いずれも運営者において、金融商品取引法の投資運用業の登録がなければ、MAM・PAMMを行い、トレーダーに代わって、取引をすることは違法であるものと考えられる。MAMとPAMMで若干、法律根拠が異なるので、以下整理したい。

1 MAMの場合

金融商品取引法2条8項12号ロは

次に掲げる契約を締結し、当該契約に基づき、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、金銭その他の財産の運用(その指図を含む。以下同じ。)を行うこと
イ 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十三項に規定する登録投資法人と締結する同法第百八十八条第一項第四号に規定する資産の運用に係る委託契約
ロ イに掲げるもののほか、当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約(以下「投資一任契約」という。)

を金融商品取引業(一般に上記行為を行う業種は投資運用業と言われる。)と定め、これを行うためには登録が必要であるとしている(同法29条)。

MAMの場合、運営者が、トレーダーに代わって、取引を行ってトレーダーの口座の運用することになっており、運営者とトレーダーの間に「当事者の一方(注:運営者)が、相手方(注:トレーダー)から、金融商品の価値等(注:通貨の価値や金融指標の動向)の分析に基づく投資判断の全部・・・を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約」が成立していると評価されるものと思われる(なお、報酬の支払の有無はかかる契約の該当性には関係がない。)。そして、かかる契約に基づき、「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて・・・デリバティブ取引(注:FX取引)に係る権利に対する投資として、金銭その他の財産の運用(注:トレーダーの口座内の金員の運用)」を行っているものと評価されるものと思われる。

したがって、MAMにおける運営者になるためには、投資運用業の登録が必要になるものと解される。

2 PAMMの場合

金融商品取引法2条8項15号ハは、

金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、次に掲げる権利その他政令で定める権利を有する者から出資又は拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行うこと
ハ 第二項第五号又は第六号に掲げる権利(注:出資者が出資又は拠出をした金銭を充てて行う事業から生ずる収益の配当を受けることができる権利

を金融商品取引業(一般に上記行為は自己運用と言われる。)と定め、これを行うためには登録が必要であるとしている(同法29条)。

PAMMの場合、運営者が、トレーダーから拠出を受けた金銭を運用しており、それに対して、トレーダーは収益の配当を受ける権利を有していると評価されるものと思われる。

したがって、PAMMにおける運営者になるためにも投資運用業の登録が必要になるものと解される。

なお、少しややこしい話だが、金融商品取引法上、同法2条8項12号及び同法2条8項15号(あと、同項14号も)に掲げる行為を行うには、投資運用業の登録が必要とされており(同法28条4項)、結論的には、PAMMとMAM、いずれの場合も、”投資運用業”の登録が必要となる点に変わりはない。

ざっくり言えば、運用となる財産がある場所が、トレーダーの口座か、運営者の口座となるかで、金融商品取引法上のいずれの「金融商品取引業」に該当するか(同法2条8項のどの類型に該当するか)異なるものの、ライセンスの名前は「投資運用業」で同じなわけである。

第2 罰則について

投資運用業に関する登録が必要なのにもかかわらず、登録せず、投資助言業を行った場合、「五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金」に課される可能性がある(金融商品取引法197条の2第10の4号)。要は犯罪ってことになる。
【参考条文】
第百九十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

十の四 第二十九条の規定に違反して内閣総理大臣の登録を受けないで金融商品取引業を行つた者

ちなみに投資運用業の登録は、株式会社の形態で行う必要があり、また、なかなか登録のハードルは高い。
そのため、個人でMAM・PAMMの運営者をやっている方は当然に金融商品取引違反に該当することになるものと思われるし、また、法人形態でやっている人もおそらく投資運用業の登録を行わないでやっているのではないだろうか。

登録を行っていない場合、金融庁による規制に服していないし、MAM・PAMMのスキーム(特にPAMMは、お金を預け、運用成績しかみれないので)は、詐欺が行われ易いスキームなので、これから利用することを考えている人は注意いただきたい。

なお、ググってみると、「国内業者のFX口座で行うMAM・PAMMは違法であり、海外FX業者のFX口座で行う必要がある」という記事をたくさん見かけるが、上記金融商品取引法の規制は、国内業者を使うか、海外FX業者を使うかでは変わらない(これらの記事は誤りと思われる)ので、注意されたい。

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18 件のコメント

  • いつも興味深い記事ばかりで、更新を楽しみに待っています!
    先日のXLN Tradeの記事も参考になりました。

    自分が取引の判断を一切しないという点で、EAはMAM、PAMMと共通していますが、厳密にはEAの提供者にも、金融商品取引法の投資運用業の登録が必要、という整理になるのでしょうか。

    • NO NAME様

      コメントありがとうございます。
      結論から申し上げると、EA提供者はライセンス不要かと思います。
      投資運用業の登録がいるか否か肝心なことは人のお金に関して、運用権限があるか否かで、EAを提供するだけの場合、他人のお金の運用権限が認められないからです。なお、MAM口座及びPAMM口座の親口座(運営者口座)をEAで運用する場合には、投資運用業の登録が必要となります。

        • 今更で申し訳ございません。
          EAの有償提供については、https://fxatty.com/law4/の記事で追記させていただいたように継続アップデートがなされるような場合には、投資助言業の登録が必要となり得ること(金融庁見解)につき、ご留意くださいますと幸いです。

  • すごい参考になる投稿だと思いました。
    世の中にはコポートレードやミラートレードなどというシステムが普及していますが、コピートレードはトレーダーロジックと自動システムを連動させたものをシステムとすればEAとして提供している人たちも違法なのでしょうか?

    • 匿名希望様

      コメントありがとうございます。
      ご質問のご趣旨をもしかしたら正確に理解できていないかもしれず、恐れ入りますが、投資運用業の登録が必要か否かで肝心なことは、他人の口座のお金を運用している(MAM)、あるいは他人から出資を受けたお金を運用している(PAMM)といえるかでして、単にEAを開発して、提供している、換言すれば、トレーダーに単に使用させてあげているだけでしたら、投資運用業のライセンスは不要かと思います。他方で、MAMあるいはPAMMの親口座をEAで運用し、結果として子口座がミラーで運用されるような場合(PAMMの場合は厳密には利益の分配に与るといった方が正確でしょうか)には、親口座の保有者が子口座のお金を運用しているといえる関係にあると言えてしまうように思われますので、投資運用業の登録が必要になるのではないかと考えております。

      冒頭申し上げましたとおり、私がご質問の意図を理解できていないかもしれませんので、誤解があれば、ご指摘くださいますと幸いです。

  • 突然のコメント失礼いたします。
    有名な会社、アキシオリーやタイタンもMAMやPAMM口座を提供しているそうですが金融庁から摘発される可能性はあるのですか?日本で投資家を集めて運用することは違法になると思います。
    またアキシオリーとタイタンはどちらもマイナーなライセンスを取得してるから金融庁に登録できているので摘発されないのでしょうか?
    よろしくお願いいたします

    • 河口 様

      コメントありがとうございます。

      ご質問はおそらくmam口座、pamm口座の問題というよりかは、海外ブローカーが日本のライセンス無く、日本で事業を展開できるかという点かと存じます。

      https://fxatty.com/law2/

      こちらの記事をご参照いただきたく存じますが、結論を端的に申し上げれば、日本のライセンスがない限り、他の国のライセンスがあろうと、日本で事業展開することは違法であるものの、日本に支店がない以上、事実上摘発されない、ということになろうかと考えております。

  • とても興味深い内容でしたのでお尋ね致します。
    日本国の投資運用業に未登録の個人がソーシャルトレードを提供している海外FX業者において、元トレーダーとして登録し、海外の利用者、フォロアーから一定の収益を受け取る場合、違法となりますか?
    又、
    日本人のフォロアーだけを判別できずに拒否できない場合は違法となりますか?グレーでしょうか?

    • 筒井 様

      コメントありがとうございます。
      ちょっと想定が理解できてないかもなのですが、いわゆるミラートレードの配信のベースとなる取引を行なっている方を元トレーダーとしておっしゃってるものと理解しました。
      その上で、このミラートレードを利用するか否かは口座開設者の自由であり、いつでもオン、オフを切り替えられるものと理解しております。
      (前提が異なりましたら、ご指摘ください。)

      まず最初に、このトレード配信(厳密にはブローカーに登録して、ブローカーが配信することになるもとと思いますが、ここでは元トレードの取引を指すことを意図してます。以下同じです)が違法となるか否かについては、当該ミラートレードに国内ブローカーを用いるか、海外ブローカーを用いるかは肝要ではなく、日本人トレーダー(厳密には国内居住者)を対象としているか否かが肝になろうかと思います。

      先にお二つ目のご質問に回答することになりますが、仮に日本人がいる可能性があることを認識した上で、実際に日本人が当該ミラートレードを利用しているのであれば、違法となる可能性はあるものと思います。

      さて、一つ目の質問に戻りますが、当該ミラートレードが元トレーダーの意思のみで、口座開設者の口座を運用できてしまうものであれば、投資運用業の登録が必要になるものと思いますが、口座開設者の意思でオンオフを自由に切り替えるのであれば、元トレーダーの取引をコピーするか否か、その後、コピーをやめるか否かについて、口座開設者の意思に完全に委ねられているのであれば、元トレーダーが運用しているとは言えず、投資運用業の登録は必要でないと整理できるのではないかと思います。

      ただ、報酬をもらって、投資助言を行なった場合には、投資助言業の登録が必要となります(なお、蛇足ですが、投資運用業の場合、報酬の受領の有無は要件となりません)。

      このミラートレーダーの配信が、口座開設者から報酬をもらうものであれば、助言業に該当してしまうのではないかという気がしております。
      (ミラートレードは、語感的には”助言”には該当しなそうですが、いわゆる助言には登録が必要なのに、助言より一歩進んだともいえるミラートレードがこれに当たらないと解するのはバランスを逸しているようにも思われ)

      投資助言業に該当する場合、投資助言業の登録がなく、当該トレード配信を行うと違法となります。

      なお、報酬を口座開設者からではなく、海外ブローカーからもらうのであれば、助言の相手方から報酬をもらっていないと整理で、投資助言業の登録は不要と整理できるかもしれません。
      (が、口座開設者の取引量に連動した報酬が設定される場合、結局それは口座開設者が報酬を支払っていることと同じだ、との認定がなされる可能性はあるように思われます)

      取り急ぎの回答は以上となります。

      どうぞ宜しくお願い申し上げます。

      • 返信遅れまして申し訳ありませんでした。ご丁寧な回答を有り難うございます。大変参考になりました。
        海外のFX会社で海外のトレーダー達がコピーすることが多いのですが、日本人が混じって来ないか心配でした。
        実際に(私)元トレーダーにはどこの国の人がコピーしたか全くわからず、投資金額のみが表示されます。
        コピートレーダーの利益の一定割合がFX会社から自動的に入金されるしくみです。
        今の段階ではグレーと感じました。実際に投資運用業の登録にはかなりのコストと専任者が必要ですので一介のソーシャルトレーダーには厳しいですね。
        有り難うございました。

  • 失礼します。

    海外FX証券会社やFX自動売買を行なっている業者の両方が登録されている必要がありますか?

    また金融商品取引法の投資運用業の登録がされているのかを調べる場合はどうしたら良いでしょうか?

    金融庁で調べられますか?

    • Momo様

      コメントありがとうございます。

      >海外FX証券会社やFX自動売買を行なっている業者の両方が登録されている必要がありますか?

      日本で営業をしていることを前提にするのであれば、海外FX証券会社に第一種金融商品取引業者の登録が、FX自動売買を行なっている業者(これはPAMM、MAMにおける親トレーダーを意味していると理解しております。)に投資運用業の登録が必要になろうかと存じます。

      >また金融商品取引法の投資運用業の登録がされているのかを調べる場合はどうしたら良いでしょうか?
      >金融庁で調べられますか?

      こちらのサイトで御覧になれます。
      https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kinyushohin.pdf
      https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html

      どうぞ宜しくお願い申し上げます。

  • 初歩的なお尋ねですいません。
    TEL勧誘で「MAM取引」取引口座に入金し、運用しているのですが、投資は「マイナス」になるのを踏まえやるべきとは理解しているのですが・・・。それに纏わる記事を見ていますと8割ほどが「詐・・」とのことですが・・・。そんなこともあり金融商品取引法の投資運用業の登録の確認の必要性を教えられました。
    不安もあり、「口座解約(出金依頼)」を証券口座でできるかとこころみたのですが、「保有ポジションがあるため出来ない」旨の表示でしたので、「運用業者」に尋ねたところ、「親口座(運用業者)」が申し入れないと「NO」とのことです。
    私のほうで「出金依頼」をできる方法はありませんか?

    • ごめんなさい、正直に申し上げてご質問の正確な意図がわかりかねております。

      システム的に、出金ができるか否かのご質問に関する限り、少なくとも法律は関係ないように思われますし、当該証券会社(MAM口座を開設されているブローカー)に聞くしかないのではないでしょうか?

      なお、念のため、当該証券会社は海外ブローカーであるならば、尚更日本法の問題とすることは難しく、金融商品取引法を盾に、どうにかしてくれと主張することは難しいと思います。

  •  質問がありまして、メールしました。

     先日、いくつかの価値ある投資案件の紹介が得らられるということで、とある団体に入会しました(入会に当たって50万、もしくは150万の入会金を支払う必要があります。)。そこで、投資案件の一つとして、MAM運用によるFXシステムの紹介がありました。
     運用に当たって、入会金に応じて4割、もしくは6割で利益から報酬が取られました。
     一時かなりの利益を出した時期はあったものの、最終的に2、3ヶ月で口座の資金は無くなりました。

     調べたところ、この団体は投資に関して金融庁の登録を受けてないですし、投資に関する免許を一切持ってないようでした。

     それを問い詰めたところ、「ご自身の口座での運用であり、資金を集めた訳ではないので、出資法違反にはなりません。資金の運用ではなく、ソフトを提供しただけで、お客様と投資助言の契約もしていません。」と言われました。

     団体に参加する時に高額な参加費を払っている訳ですし、FXシステムの運用時に利益から報酬を取られているので、この団体は何らかの法律に違反していると個人的には思うのですが、専門家の意見を教えていただきたいです。

    • 田中 様

      取り急ぎの回答となり恐縮ですが、当該システムがMAM口座を利用したものであれば、記事に書かせていただいたように投資運用業の登録が必要となるのではないでしょうか。
      なお、EAの有償提供は原則として投資助言業に該当しないと解されておりますが、ソフトの定期メンテナンスやアップデートが必要となるものについては、投資助言業に該当し得るとの見解が金融庁から示されておりますので、仮にMAMではなく、EAの話をされているのであれば、投資助言業の登録が必要という話になり得るように思われます。

      ちなみにですが、投資運用業あるいは投資助言業の登録がなかったとしても、(彼らが刑罰を受けるか否かは別論として)民事上、お金を返せといえるかは別問題で、彼らが業法に反していたからといって直ちにお金の返還を求めることができるものではないことにご留意ください。

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