今回は法律のお話。
都内のマンションに住んでいる方の中には受け取ったことがある方も結構いらっしゃるかと思うのですが、マンションのオーナーが変わったことに関して、承諾してくれとの内容の承諾依頼書兼承諾書。
あれって、提出する必要あるの?出さないと何か不利益(賃貸借契約解除されるとか)あるの?って疑問を持ったことありませんか?
結論的には、あれは出さなくても不利益はないけれども、円満な賃貸関係の維持のために出しておいた方がベターくらいの書面なんですよね。
不動産の譲渡の場合、判例上、当然に賃貸人の地位が移転すると解されており、実務もこれに従って運用されているので、あえてこの点についてテナントから承諾書を取得する必要はないのですよ、法的には。
ただ、賃料の支払先が変更することをアナウンスする意図があったり、敷金の返還債務を不動産の譲渡人(旧オーナー)がもう負担しないよってことを確認する意味があったりする(後者については実は難しい問題があり、テナントが承諾しない限り、譲渡人も敷金返還債務を負担し続けるのではないかという点が法解釈の論点だったりする。)。
なお、不動産の譲渡の場合ではなく、マスターレッシー(オーナーの代わりに賃貸管理を行うため、転貸人の地位に就く者)を介入させたい場合(テナントとの関係を賃貸借から転貸借にレベルを下げたい場合)や、マスターレッシー自体を変更したい場合は、現行民法上はテナントが承諾しない限りは実現できなかったりする。
もっとも、この場合でも、テナントに不利益が生じるケースは稀であるし、円満な賃貸関係の維持のために出しておいた方がベターだと個人的には思う。
ちなみに知り合いの不動産業者に聞いたところ、この書面の回収率はだいたい70%は超えるとのこと。意外に皆さん、ちゃんと提出するのですね。
提出しないと不利益があると思って提出する人が多いらしいのです。上記のとおり提出しなくとも特段の不利益はないので、無視しちゃう人が多いのかと、勝手に思ってました。
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