私は週末、必ずと言ってもいいほど、競馬中継を見ている。
競馬関連で、これまではよく、大根おろしさんというyoutuberの動画を良く見ていたのだが、著作権の問題があったためか、アップロードされていた動画がほぼ全て削除されてしまった。
そのため、最近は、ケイタさんというyoutuberの動画をよく見ている。
一つのレースに数百万単位のお金を賭けたり、大勝した場合には視聴者に高級腕時計をプレゼントしたり、破天荒な行動で、尖った感じが個人的には好きだ。
ところで、最近の企画で、11月10日(土)の東京中日S杯武蔵野S(GIII)で、サンライズノバァに1万円×100点、馬券を購入し、当たった場合に抽選で視聴者100名にプレゼントするという企画を行っていた(当該動画についてはこちらを参照)。
そして、見事に当たったわけだが、このとき、ふと思ったのだが、馬券って譲渡できたのでしたっけ・・・?
気になったので、このプレゼント企画(懸賞)の法律問題について、検討してみた。
1.不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)の問題
懸賞を規律する法律でまずぱっと思い浮かぶのが、不当景品類及び不当表示防止法、いわゆる景品表示法だ。
景品表示法を見てみると、この法律の規制の対象となり得る「景品類」は、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう(2条3項)と定義されている。
で、「景品類」に関しては、内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる(4条)とされており、要は通達で鑑賞の景品等の価額の上限が制限される可能性があるわけだ。
今回のケイタさんのようにyoutubeの視聴者に懸賞でプレゼントする行為は、通達で禁止されているのか?という点については、結論的は規制されてないよう(=景品表示法との関係においては適法)である。
ケイタさんの懸賞は、いわゆるオープン懸賞に該当するものと思われる。このオープン懸賞には、平成18年までは1000万円という上限規制があったが、本記事作成現在においては、撤廃されている。
(以下、消費者庁のホームページから抜粋)
景品表示法上、商品・サービスの利用者や、来店者を対象として金品等を提供する場合は、「取引に付随」して提供するものとみなされ、景品規制の適用対象となります。
他方、新聞、テレビ、雑誌、ウェブサイト等で企画内容を広く告知し、商品・サービスの購入や来店を条件とせず、郵便はがき、ファクシミリ、ウェブサイト、電子メール等で申し込むことができ、抽選で金品等が提供される企画には、景品規制は適用されません。このような企画は、一般に「オープン懸賞」と呼ばれています。
オープン懸賞で提供できる金品等の最高額は、従来、1000万円とされていましたが、平成18年4月に規制が撤廃され、現在では、提供できる金品等に具体的な上限額の定めはありません。
なお、(多分)ケイタさんのアンチと思われる方のブログ(なお、このお方のブログ・動画も私は好きである。)に、パチンコ業界や医療業界の集客も景品に上限が設定されているのだから、多分ケイタさんの懸賞も違法ではないかという指摘がなされていた。
この指摘はおそらくいわゆる「総付景品(そうづけけいひん)」に関するもので、フィジカルに来店する人にもれなく提供する景品等については、ご指摘のとおり、上限規制がなされている。
ケイタさんが行った懸賞はあくまでYouTubeというウェブサイトを介して行ったものであり、商品・サービスの購入や来店を条件としていないのであるから、この上限規制にはかからない。
(以下、消費者庁のホームページから抜粋)
取引価額 | 景品類の最高額 |
---|---|
1,000円未満 | 200円 |
1,000円以上 | 取引価額の10分の2 |
一般消費者に対し、「懸賞」によらずに提供される景品類は、一般に「総付景品(そうづけけいひん)」、「ベタ付け景品」等と呼ばれており、具体的には、商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する金品等がこれに当たります。商品・サービスの購入の申し込み順又は来店の先着順により提供される金品等も総付景品に該当します。
したがって、ケイタさんが行った懸賞は、景品表示法との関係では問題ないと考えている。
2.競馬法の問題
3.税務上の問題(おまけ)
税金の専門家ではないため、この部分はおまけだが、懸賞企画で50万円以上の金品(馬券に限られない。)が当選した場合、一時所得して課税されると思われるので、当選者は脱税とならないように注意が必要である。特にYouTubeで抽選放送がなされているし、ケイタさん側に当選者の記録を残しているであろうから、税務署が調べようと思えば、調べられてしまうので。
そのため、こちらについても、(景品が大きい額の場合は特に)動画の概要欄に当選者は、ご自分の税務に関する相談は税理士等の専門家にご相談ください、と一言記載しておくことが良いように思う。
ところで、ケイタさん側が、懸賞のために馬券に投じたお金は、当たり馬券・はずれ馬券を問わず、youtube事業の経費に落とせるのだろうか。
個人的に気になるところである。
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